KOBE STYLE おしゃれの流儀

(47最終回)オールド&ニューの精神

 今年も残りわずか。2011年は本当にいろいろな出来事がありました。感謝や絆が見直された年だったと思います。

神戸という街は特別なポテンシャルを持っている((C)神戸コレクション制作委員会)
神戸という街は特別なポテンシャルを持っている((C)神戸コレクション制作委員会)
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 そんな世相の中で、着飾り生活を楽しむ、おしゃれをすることに消極的になる日もありました。スカーフの巻き方やベルトの位置をいつもと少し変えてみたり、髪形を変えてみたりするだけで、無難だった印象が新鮮に映り生活が楽しくなる。おしゃれってそんなことだと思います。そこに、センスと知性を感じたりもします。しかし、それは、緻密に計算されたものではなく、あくまでも感性であり、自然にできてしまうというのが、おしゃれな人なのであって、そういうセンスと知性が神戸という場所には、脈々と受け継がれているなあと実感しています。

 ファッション史を振り返ると、王侯貴族がファッションリーダーだった時代の次、20世紀にシャネルやポワレらによって、ファッションデザイナーが職業として確立され、1910年代からオートクチュールが盛んになります。そして50年代から始まったプレタポルテコレクション。庶民も楽しめるものとしてクレージュやピエールカルダンらデザイナーたちが提案するファッションが、最新モードとしてはやり出します。

 当時は「コレクション」というと、半年先や1年先の作品を発表する場でしたが、21世紀の今はリアルタイムになりつつあります。おしゃれな女性が選んだアイテムをオンシーズンに発信するという発想の転換を作ったのが、神戸コレクション。多様化、個性化の時代にマッチした等身大のファッション文化を築いたのが神戸といえます。「来年の春はこれがはやる」と予想していたのは昔の話で、「今神戸で何がはやっているか」が、ファッションの中心になっているのです。神戸という街はずっと特別なポテンシャルをもっているのを感じます。

 時代に合わせてどんどん新しさが生まれるのがファッション。その半面、昔を懐かしむオールディーズなど古いものも愛されます。古い過去のスタイルが焼き直しされて新しいものが生まれ、それが繰り返されていく「オールド&ニュー」。ファッションとは、過去と未来をつなぐ懸け橋なのかもしれません。コラムは今回で最終回。お付き合いいただきありがとうございました。(高階 敏子)
=おわり=

※神戸新聞夕刊(12月21日)に掲載された記事を転載しています。
 この連載は今回で完結です。ご愛読いだたきありがとうございました。
  
e382abe38383e38388e3808ckobestylee3808d1▽たかはし・としこ 神戸のファッション企画会社「ぜんまい」のクリエーティブ・ディレクター。神戸を楽しむためのファッション情報サイト「神戸デイズ」でもおしゃれ情報を発信中。まずはHPをチェックしてみてね!
http://www.kobedays.com/


(46)贈る相手を思い 選ぶ楽しさ

 クリスマスが近づき、街はプレゼント商戦まっただ中。ジミーチュウのパーティーバッグ、モンクレールのダウンコート、アクアスキュータムのトレンチコート、ネームチャームのネックレス…などなど、あれもこれも欲しい!と女心が刺激される時期の到来です。

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喜んでくれるので何度も贈りたくなる大好きな母
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 自分へのご褒美は自分で買えばいいのですが、自分では買わないけれどいただきたい…というものもあります。その代表がクリスマスプレゼント。

 クリスマスプレゼントといえば、オー・ヘンリーの代表作である「賢者の贈り物」が思い浮かびます。皆さんご存じのように、貧しくも心清らかな夫婦、ジムとデラの贈り物をめぐる行き違いを描いたお話です。

 クリスマスの前日、デラは自慢のくり色の髪を売ったお金で、ジムが大切にしている金の懐中時計をつるす鎖を買います。ジムは、デラの長くて美しい髪に似合うべっ甲のくしを買うために、自慢の時計を質に入れてしまいます。そんな相手を思う気持ちが結果的に行き違ってしまうのですが、デラは「くしは胸に着けるわ。髪はすぐ伸びるから」と喜び、ジムは「この懐中時計にこの鎖は上等すぎるから、しばらくの間しまっておくことにするよ」と相手を思いあうことでハッピーエンドです。大切な宝物でも、相手のためなら失っても構わない。それよりあなたの喜ぶ顔が見たいという愛に満ちた温かい物語です。

 プレゼントを選ぶ前に「欲しいものは何?」と尋ねて無駄のないものを買うのも合理的でいいのですが、贈る相手をいろいろと思うことがいいのかなって思います。自己満足のためではなく、“あえて”他者満足と考える。派手でも豪華絢爛(けんらん)でもないものでも、最終的には気持ちが伝わることが現代で一番ラグジュアリーなような気がします。

 大好きなサンテグジュペリの童話「星の王子さま」にも「一番大切なことは目に見えない」というメッセージがあります。科学が発達して暮らしはどんどん便利になっていますが、人間が解明できないものは数多く、見えないけれど存在する何かが確実にあるというお話ですね。

 お歳暮とはちょっと違うクリスマスプレゼント。私も愛のこもったプレゼントを選びたいと思います。

※神戸新聞夕刊(12月7日)に掲載された記事を転載しています。
 次回は12月21日掲載の記事を紹介する予定です。
  
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(45)秋の夜長はアナログな音を

 秋の夜長、一日の締めくくりは、音楽をゆったりと楽しみたい。デジタル慣れした私の耳ですが、最近レコードというアナログな音にはまっています。インターネットで気軽にダウンロードでき、海外のライブも動画投稿サイトで視聴できますが、あえてレコードなのです。
 
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お休み前にアナログ音楽でぜいたく時間
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 コレクターが手放したであろう名盤が中古店で手ごろな価格で購入できますし、一時は姿を消したレコード針も最近は手に入るようになっています。名盤と呼ばれるレコードジャケットはセンス良く、インテリアにもなります。
 
 一番こだわるべきは、音域に合わせたスピーカー選びだと、いろいろな方に教えていただき、その結果手に入れたスピーカーから流れる音は、言葉で表現するのは悩ましいほど心にしみる感動があります。私の勝手な主観ですが、レコード針を慎重に載せて、「ジリジリ…」と始まるアナログの音は、そこにいるはずのない演奏者の気配や空気を想像させ、心のひだをよみがえるらせる魔法だと思います。まずR&B、そしてブルース、最後にジャズを楽しむのが、私の一日のプチご褒美タイムです。
 
 さて、ご存じの通り、神戸は日本のジャズ発祥の地。国際貿易都市として、いち早く海外の文化を受け入れた街には多くの外国人が住み、そして本物のジャズがやって来ました。神戸のジャズを語る上で外せない小曽根実さんにインタビューさせていただいたことがあります。(http://www.kobedays.com/interview/detail_2558.php
 
 そこで「神戸のジャズは、みんなが知っている曲(スタンダード)をやって喜んでもらう。それが神戸のミュージシャンのステータスなんちゃうかな」と話してくださいました。マニアックな曲目、演奏もある中、周囲と一緒に心地よい音楽を楽しみ演奏する。奇をてらうのでなくスタンダードを大事にするスタイルは、神戸の日々の暮らしに共通するものなんだなと確信しました。
 
 クラシックを弾く人は間違った音を出すと焦って弾き直すのですが(私)、ジャズに間違った音はないとのこと。「しまった」という音でもあえてもう一度その音を。「変かな」と思う音でも3回続ければ「必要かも」と人は納得するとか。
 予定外の音も即興演奏を利かして新しい魅力に変えてしまう柔軟さ。まさに神戸スタイル。この街にジャズが似合うのは当然かもしれません。(高階 敏子)
 
※神戸新聞夕刊(11月16日)に掲載された記事を転載しています。
 次回は12月7日掲載の記事を紹介する予定です。
  
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(44)エルボーパッチで今年風

 今季のトレンドであるブリティッシュスタイルの一つがエルボーパッチ。エルボーは「肘」、パッチは「つぎ布」。2、3年前から見掛けますが、今季はエルボーパッチ付きセーターのブレークを感じます。
 
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真っ赤なセーターにエルボーパッチ。人目を引きそう
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 もともと傷みやすい肘部分の補強と装飾を兼ねたものですが、布製と革製があり、最初から当て布をしておく機能性目的のディテールです。作業服だったジャケットに付けたのが始まりのようですが、今では補強という本来の役割を離れ、旬のディテールとしてファッション化しています。カジュアルでどこかほんわかした雰囲気が、私たちが求めている気分にぴったり合ったのでしょう。
 
 先日、父親が昔着ていたセーターをクロゼットの奥から見つけ、思わず顔がほころびました。5年ほど前にパリの手芸品店で購入したまま出番のなかったエルボーパッチにぴったり。手縫いで付けると、今風で大活躍しそう…! 少し縮みかけているにもかかわらず、捨てられずにいた〝生き残った〟セーター。このよみがえったセーターは、私にとっては、セレンディピティ(遊び心や思いがけない発見をする能力)の象徴。そして世界で限定1枚の大切なセーターは、私にとっては1枚のアートでもあります。刺しゅう糸で縫いつけている間は、何も考えず深い瞑想(めいそう)をしているようで、集中する分、雑念も消え、何よりクリエーションという喜びを与えてくれました。出来上がったセーターは、受け継ぐことの喜びと大切さを感じさせてくれます。
 
 エルボーパッチ付きの洋服はたくさん販売されていますが、今ある洋服に自分でプラスして楽しむこともできます。ファッションは新しさを追いかけて楽しむものと思われがちですが、それだけではなく、古い物を大切にした上で、分解・作り替えたりする面白さ、既製服にない個性を大切にするのもファッションです。神戸には良いものを長く愛し、手間暇かけて手入れしながら使いこむといった美意識があります。そこに新しいトレンドをスパイスとして取り入れ、新旧をミックスさせながら自分なりの時流に乗ったファッションを楽しむのが神戸スタイルのおしゃれの醍醐味(だいごみ)だと私は考えます。
 
 トレンドに追い付こうと必死になるのではなくて、トレンドを活用する。単に美しいものを追い求めるのではなく、その価値やストーリーも楽しむことが神戸スタイルでしょう。
(高階 敏子)
 
※神戸新聞夕刊(11月2日)に掲載された記事を転載しています。
 次回は11月16日掲載の記事を紹介する予定です。
 
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(43)美しく見せる目元のおしゃれ

 あくびしただけで目の周りが黒ずんだのはもう昔。泣いてもプールで泳いでも取れないマスカラがあることはご存じと思います。最近は「つけまつげ」や「まつげエクステ」も随分浸透していますね。
 
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衣服に合わせて秋は〝重み〟のあるアイメークを
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 女性は皆「美しくなりたい」と願っていますが、目元のお化粧は少し違って「美しくみせたい」ですよね。化粧品アレルギーがある私は、以前はつけまつげにためらいがありましたが、接着剤の品質も向上しており今はすっかり愛用しています。まつげが当たらないようにレンズ無しの眼鏡があるほど。これも新たなファッションですね。
 
 つけまつげは1960年代、おしゃれな女性がアイラインと一緒にいち早く取り入れていたそうです。子どものころ、母親の化粧台から、つけまつげやウィッグ(今でいうエクステ)、オリーブ色のサングラスを見つけ、母の目を盗んではおしゃれ遊びをしていました。当時のつけまつげはすぐに外れたり、カールが取れたりしたそうですが、今は品質も良く種類も豊富。たくさんありすぎて自分に合うものが分からない!という方もいるのでは。
 
 初めての方は、目尻用の部分用つけまつげから始めてはと思います。フルタイプ、ハーフタイプ、ポイントタイプがありますが、まずはポイントタイプから、場所は目尻から始めるのがいいと思います。慣れてきたら、フルタイプなどに挑戦してみては。部分用つけまつげはアイメークは完了している状態でスタートします。アイラインもしっかり入れ、ビューラーでまつげを上げマスカラを塗ってから。つけまつげに接着剤を付け、ピンセットで目尻の際に合わせて付けます。その後、柔らかいアイラインペンシル(黒)で、上のラインをなぞります。ホットビューラーでしっかりカールさせ、地毛とつけまつげを同化させるそう。うまくできなくても、目尻ならご愛嬌(あいきょう)で済みますよ。
 
 ぱっちり目元で自信が生まれれば、知らず知らず笑顔になって、幸せを呼び寄せるのではないでしょうか? すっぴんの自分と向き合い、顔筋を鍛えることも大切ですが、足りないところをフォローしながら「こうありたい自分」に近づけるよう楽しむことも「おしゃれ」と思っています。こんな遊び心も神戸スタイルかな、と。(高階 敏子)
 
※神戸新聞夕刊(10月19日)に掲載された記事を転載しています。
 次回は11月2日掲載の記事を紹介する予定です。

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