2005年12月14日掲載
三年醤油 たつ乃屋本店 佐用郡佐用町
重ねた時が醸した味/昔ながらの製法 誇りに
![]() |
300余年の伝統と3年の手間が生む味わいが魅力=佐用郡佐用町平福、たつ乃屋本店 |
江戸時代、姫路と鳥取を結ぶ因幡街道随一の宿場町として栄えた佐用郡佐用町平福地区。佐用川沿いに、往時をしのばせる古いまち並みと土蔵群が続く。
たつ乃屋本店は地区の中ほどにある。一六九七(元禄十)年の創業以来、ここに店を構え、醤油(しようゆ)をつくり続けている老舗。裏には、大きな杉おけが二十五ほど並ぶ蔵があり、醤油独特のにおいが満ちる。
この地で古くから地域の人に愛されてきた「三年醤油」。同店は、製法や使う道具も昔のままで、国産丸大豆と小麦を混ぜ合わせ、麹室(こうじむろ)と呼ばれる温室に二昼夜寝かせる。できた麹を塩水を入れた杉おけに漬け込んで熟成させる。
一般的な醤油の熟成期間は半年から一年だが、三年醤油はその名の通り、倍以上の時間をかける。ただ置いておくのではなく、夏は毎日、それ以外の季節も数日に一度はかき混ぜる。均等に発酵させてカビの発生を防ぐためという。
最後に、もろみを布で包み、重しをつるしてゆっくりと搾る。以前に一度、油圧で搾る圧搾機を導入したことがあったが、すぐに使用をやめた。
二十年前に主人を亡くし、店を守り続ける船曳裕子さん(78)は「味がどう違うかは説明できないけれど、ご飯を鉄釜で炊くのと炊飯器で炊く違いでしょうか」と話す。
自然の力に任せた発酵が、芳醇(ほうじゆん)な香りと深くまろやかな味を生み出す。もちろん無添加。なめると塩味の角がなく、ほんのり甘い。刺し身やもちにも合うし、煮物や炊きこみご飯などでも香りが一層楽しめそうだ。
健康志向や自然志向の高まりで全国から注文も増えつつあるというが、生産ペースは変えないという。「今までの顧客を守るので精いっぱい。でも、大量生産ができないことは誇りでもあるんです」と船曳さん。
私たちに変わらないことの大切さを教えてくれている。(山本哲志)
たつ乃屋本店は地区の中ほどにある。一六九七(元禄十)年の創業以来、ここに店を構え、醤油(しようゆ)をつくり続けている老舗。裏には、大きな杉おけが二十五ほど並ぶ蔵があり、醤油独特のにおいが満ちる。
この地で古くから地域の人に愛されてきた「三年醤油」。同店は、製法や使う道具も昔のままで、国産丸大豆と小麦を混ぜ合わせ、麹室(こうじむろ)と呼ばれる温室に二昼夜寝かせる。できた麹を塩水を入れた杉おけに漬け込んで熟成させる。
一般的な醤油の熟成期間は半年から一年だが、三年醤油はその名の通り、倍以上の時間をかける。ただ置いておくのではなく、夏は毎日、それ以外の季節も数日に一度はかき混ぜる。均等に発酵させてカビの発生を防ぐためという。
最後に、もろみを布で包み、重しをつるしてゆっくりと搾る。以前に一度、油圧で搾る圧搾機を導入したことがあったが、すぐに使用をやめた。
二十年前に主人を亡くし、店を守り続ける船曳裕子さん(78)は「味がどう違うかは説明できないけれど、ご飯を鉄釜で炊くのと炊飯器で炊く違いでしょうか」と話す。
自然の力に任せた発酵が、芳醇(ほうじゆん)な香りと深くまろやかな味を生み出す。もちろん無添加。なめると塩味の角がなく、ほんのり甘い。刺し身やもちにも合うし、煮物や炊きこみご飯などでも香りが一層楽しめそうだ。
健康志向や自然志向の高まりで全国から注文も増えつつあるというが、生産ペースは変えないという。「今までの顧客を守るので精いっぱい。でも、大量生産ができないことは誇りでもあるんです」と船曳さん。
私たちに変わらないことの大切さを教えてくれている。(山本哲志)
※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。
[55] 三年醤油 たつ乃屋本店 佐用郡佐用町(2005-12-14)




