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木のある風景

2002年8月30日掲載

「球児の森」 明石公園

毎年1本 栄光の記憶

軟式球児の栄光を静かに伝える「球児の森」=明石公園

軟式球児の栄光を静かに伝える「球児の森」=明石公園

練習試合をする球児たち=明石公園第一野球場

練習試合をする球児たち=明石公園第一野球場

 マウンドの土を黒く染める汗。鋭いまなざしが打席を見詰める。息をのむ観衆。その直後、青空を突き抜ける打撃音が緊張を破った。球場が歓声に揺れる―。

 毎年八月、明石公園第一野球場を舞台に繰り広げられる「全国軟式高校野球選手権大会」。連載最終回は、もう一つの「甲子園」をそっと見守る「森」。それは、硬式野球に劣らない球児たちの汗と夢を刻みながら、静かに成長を続けている。

 「森」は「球児の森」と呼ばれ、同野球場から陸上競技場の円周に沿って北に延びている。造られたのは、大会会場が藤井寺球場(大阪府)から明石、高砂の両球場に移転して三年後の一九八四年。県と高野連(日本高等学校野球連盟)が計画し、第一回から前年の第二十八回大会まで、優勝校の都道府県の木を記念植樹した。以後毎年一本ずつ、栄光の数だけ木は増えている。

 第一回大会で優勝したのは高知県の土佐高で、ヤナセスギが植えられた。イチョウ(東京・早稲田実高)、ハナノキ(愛知・中京商高)と、現在までに植えられたのは四十六大会の四十五本。兵庫の県木「クスノキ」は三本植わっている。数が一本合わないのは、第十三回大会の決勝戦で、下関商高と静岡商高が引き分けたためだ。

 郷土の期待を背負い、青春のすべてを白球に傾けた軟式球児たち。四十七回目のドラマは、二十五日に開幕。球児たちは栄光の「森」を抜けて球場に現れ、新たな栄冠を目指して熱戦を繰り広げている。

 新しい木には、どんな物語が刻まれるのだろう。
                     =おわり=
 (この連載は奥原大樹、本田純一、中川佳男、石沢菜々子が担当しました)

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。