神戸新聞
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しにせのちから 兵庫味めぐり

2005年5月5日掲載

「国領温泉 助七」丹波市春日町

水が命「コイの洗い」 こりこり歯ごたえ

いけすから上げてすぐさばく。手際のよさが光る=丹波市春日町、助七

いけすから上げてすぐさばく。手際のよさが光る=丹波市春日町、助七

臭みはまったくない。わさびしょう油でもおいしい「コイの洗い」

臭みはまったくない。わさびしょう油でもおいしい「コイの洗い」

 いけすから上げたコイに包丁が入ると、あれよあれよという間に薄い切り身になった。すぐに流水で洗って身を引き締める。山のふもとからわき出た渓流水に切り身が泳いだ。

 約五分後。「はい、できた」。三代目の近藤正博さん(56)が「コイの洗い」を差し出した。

 では酢みそをつけて一口。こりこりした歯ごたえがたまらない。

 一九一五(大正四)年、地元の富豪難波家が築いた「国領難波温泉」を正博さんの祖父が五五(昭和三十)年ごろに買い取り、温泉旅館「助七」を創業した。名物「コイの洗い」は助七の創業当時から出されている、という。

 近藤さんは「物心ついたころには庭の池にコイがいた」と話す。旅館の敷地に造られた池では約千匹のコイが泳ぐ。仕入れは年一度。コイを傷つけないために活動量が減る冬に長野県から約一トンを運ぶ。「コイは水が命。独特の臭みが苦手という人がいるが、澄んだ水で育ったコイは一切臭みがない」

 最高のコイを味わってもらうために近藤さんがこだわる点がもう一つ。「食べる直前にさばく。新しくないのは気持ちが悪い」ときっぱり。その思いはコイをさばく手際のよさに現れる。

 ぷりぷりの切り身をかみしめながら「命をいただいている」。そんな気がした。(坂口紘美)
メモ
食べる直前さばき コイ独特の臭み一切なし  

 JR福知山線黒井駅から神姫バス(野瀬行き)で約15分、「進修小学校」下車徒歩約10分。車では舞鶴若狭自動車道の春日ICから南約5分。食事付き休憩(3時間。11−15時)は7000円程度から、一泊二食付きは13800円から。いずれも要予約。
 丹波市春日町国領206。TEL0795・75・0010

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

[54] 「国領温泉 助七」丹波市春日町(2005-05-05)