神戸新聞
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しにせのちから 兵庫味めぐり

2005年8月4日掲載

「割烹 江戸屋」丹波市市島町

鮮度が命 夏の棒ずし 口中に広がる さわやかな香り

包丁をさばくときは無心。体に染み付いた技が光る=丹波市市島町上垣

包丁をさばくときは無心。体に染み付いた技が光る=丹波市市島町上垣

魚を丸ごと使うのが棒ずし。ネタには有機野菜と産地直送の海の幸、ご飯は委託栽培している減農薬の米

魚を丸ごと使うのが棒ずし。ネタには有機野菜と産地直送の海の幸、ご飯は委託栽培している減農薬の米

 「伝統の料理で夏らしいものを」。取材前にそう伝えると、出てきた料理は「棒ずし」だった。

 日本海に注ぐ由良川産のアユは薄めの酢で締めてから軽く炙(あぶ)る。「こうすると川魚の臭みがなくなるんです」。早速口に入れると、柔らかいアユとその下に敷かれたシソの葉がシャキシャキと音を立てて、歯応えまでも香ばしい。主人が今朝、自宅の畑から取ってきたというナスビは、枝豆と一緒にご飯にまぜ合わて味わう。新鮮でさわやかな香りが口中に広がる。

 「江戸屋宗兵衛」の名を受け継ぐ旅籠屋(はたごや)として、江戸初期の寛永年間に創業した。現在は、九代目の吉見誠芳さん(64)と長男の和尊さん(40)が包丁を握る。和尊さんは「自分がおいしいと思う料理を作るだけ」と気負いを見せない。棒ずしは、かつて若狭から京都や丹波地域までを結んでいた鯖街道(さばかいどう)を急ぐ商人たちに、道中の旅籠屋が振る舞った料理だという。

 「料理は素材の鮮度が命」と十代目。鮮度にこだわるからこそ地元の食材を使う。食材の状態が日々変わるように、毎日の料理方法も変わる。「アレンジが大切なんです。同じ食材でも色や形が違うように、食材の良さを引き出す料理も違うはずでしょ」

 三百五十年にわたる伝統と味は、しっかりと料理人の血に受け継がれている。(前川茂之)
メモ
四季の食材、盛り込んだ 懐石料理なども 

 JR福知山線市島駅から徒歩10分。車では舞鶴若狭自動車道春日インターチェンジから約15分。要予約。元日のみ休業。棒ずしのほか、四季の食材を盛り込んだ懐石料理や川魚料理など各種料理を予算に応じて提供。丹波市市島町上垣1093。TEL0795・85・0021

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

[67] 「割烹 江戸屋」丹波市市島町(2005-08-04)