神戸新聞
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社寺巡礼

2007年4月2日掲載

港望む楼門華僑ら集う 諏訪神社

神戸市中央区諏訪山町

神社近くの広場で太極拳に励むグループ。特別に、境内で形を披露してもらった=神戸市中央区諏訪山町

神社近くの広場で太極拳に励むグループ。特別に、境内で形を披露してもらった=神戸市中央区諏訪山町

 参道の坂で何度も立ち止まり、息を整える。油断するとそのまま後ろにひっくり返ってしまいそうな急こう配だ。諏訪山中腹の社殿にたどりつき、振り返ると、朝もやの中に神戸の海と街並みがかすんで見える。

 赤い楼門をくぐると、ほのかに線香の香りが漂ってきた。神社と線香の意外な取り合わせ。境内を見渡せば、ほかにも不思議なものがある。れんが造りの小さな焼却炉、赤い文字で一族の名前を入れた提灯 (ちょうちん)、「答謝神恩」「恵我華僑」などと書かれた朱色の板―。

 「祖父の代から、参拝者の七、八割が華僑の方なんです」。三代目宮司の安部千之(ちゆき)さん(65)が言う。焼却炉は先祖があの世で不自由しないように紙銭を焼く「金亭」、赤い文字の提灯は無病息災を願って華僑が新年に奉納する。かつては、中国式にひざまずいて拝礼する「跪拝(きはい)」用の座具や台も置かれていたという。

 なぜ華僑とのつながりができたのか。神戸華僑歴史博物館(神戸市中央区)の藍璞館長(72)は、「長崎くんち」で知られる長崎市の諏訪神社との共通点を紹介してくれた。「どちらも海を一望できる山上に社殿がある。華僑は貿易関係者が多かったから、航海の安全を祈ったのでは」と。

 もやが晴れ、境内がにぎやかになってきた。参道脇の広場「金星台」で太極拳に励んでいたグループが社殿に上がってきた。二十五年ほど前、神戸華僑総会で太極拳を教える張寥富修さん(75)がボランティアでの指導を始めた。散歩や参拝の日本人も加わり、今では十数人が毎朝、汗を流す。

 近くに住む江澤福さん(61)は病気のリハビリを兼ねて妻と参加している。「おかげで仕事に復帰できた。ここに登り、澄んだ空気を吸って美しい景色を眺める。それだけで御利益がありそう」

 中国の風習が溶け込んだ山の神社は、集う人々すべての心と体をゆったりと癒やしてくれる。(記事・写真 勝沼直子)
メモ
 ★年中行事 熱湯を振りまき厄をはらう初午(はつうま)大祭の「湯立神事」(2月)、ペットの同伴が可能な夏越大祓(なごしのおおはらえ)の「茅(ち)の輪くぐり」(6月)など
 ★諏訪神社TEL078・221・3481

【アクセス】JR・阪神元町駅から徒歩15分

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

港望む楼門華僑ら集う 諏訪神社(2007-04-02)