神戸新聞
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社寺巡礼

2008年4月28日掲載

多芸な住職は元シェフ 聖徳寺

三田市小野

平安時代に描かれたとされる絹本着色「釈迦十六善神像」

平安時代に描かれたとされる絹本着色「釈迦十六善神像」=三田市小野、聖徳寺

 のどかな田園の参道を進むと、静寂にたたずむ聖徳寺に着いた。境内では、石井誠光住職(47)が庭の手入れについて業者と打ち合わせていた。

 福井県・永平寺を本山とする曹洞(そうとう)宗の寺。一五二二年、三木城主・別所則治の援助で、三木雲龍寺四世が開山した。

 「お待たせしました」。石井住職がお茶を出してくれた。口に含むと、とても香ばしい。「驚き桃の木山椒(さんしょう)の木。母子の黒豆茶」と、石井住職がにんまりとした。

 寺の“表情”は実に多様だ。石井住職は元シェフ。高校卒業後、洋食の道に進み、名古屋や神戸のホテルで働いた。その後、永平寺で修行し、住職だった父親の下で、二十八歳の時に一人で精進料理を始めた。

 肉や魚を使わず、旬の素材を使い、「五味(甘、酸、辛、塩辛、苦)五色(白、黒、青、黄、赤)」を調和させる。「洋食の経験から、彩りにはこだわりますよ」と石井住職。午前二時から仕込む料理に、遠方から訪れる人も多い。

 習字も教えている。小学生ら約四十人で、時には一緒にシュークリームやパンも焼く。もちつきもする。「ただし習字をする子限定ね。そこに子どもたちは喜ぶんです」とうれしそうに話す。仏像彫刻にも熱心に取り組む石井住職。気さくな人柄が、地域への多様な顔を生み出している。

 最後に本堂の奥にある寺宝を見せてくれた。絹本着色「釈迦(しゃか)十六善神像」。日本最古の仏画で平安時代のものとされ、一九八九年、国の重要文化財に指定された。いろんな表情の仏があちこちを向き、その真ん中で釈迦如来は「あぁ、何でもごじゃれ!」とおっしゃっているようで、実に愉快そうに見える。

 境内では間もなく、モリアオガエルの産卵が始まろうとしている。(松本寿美子)
メモ
 ★精進料理(5250円)は午前11時―午後1時に到着の人のみ。4人以上からで3日前までに予約を。拝観は午前10時―午後5時。
 ★聖徳寺TEL079・566・0620

【アクセス】JR・神戸電鉄三田駅下車。神姫バスで約20分、平田で下車徒歩東5分。

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

多芸な住職は元シェフ 聖徳寺(2008-04-28)