神戸新聞
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社寺巡礼

2008年6月16日掲載

地元に愛される夏祭り 祇園神社

神戸市兵庫区上祇園町

急な石段を上れば、神戸の街並みが一望できる=神戸市兵庫区上祇園町

急な石段を上れば、神戸の街並みが一望できる=神戸市兵庫区上祇園町

 幼いころ、神社近くに住む祖父母に手をとられ、「祇園さん」の夏祭りによく連れていってもらった。神戸市兵庫区の平野地区の住民にとって、「祇園さん」とは京都ではなく神戸の祭りを指す。

 国道428号沿いの鳥居をくぐる。九十段の石段を上って振り返ると、絶景が広がる。港を行き交う船、ポートタワー、ハーバーランド…。神戸の街並みが一望できる。汗ばんだ額に、心地よい風が通り抜ける。海の向こう、遠くにかすむのは大阪だろうか。

 社務所に入り、佃(つくだ)和典宮司(57)に会った。

 「神社の由来は、京都と深い縁があるんですよ」

 九世紀、京都の鴨川で大きな氾濫(はんらん)が起こった。田畑は荒れ、疫病がまん延。困り果てた人々が占いをしたところ、姫路市の広峯神社にこれを鎮める神がいると出た。現在の祇園神社の祭り神、素盞嗚尊(すさのおのみこと)である。

 早速人々は神を分霊し、京都へ出発した。お神輿(みこし)は途中、広峯神社と縁ある僧侶がいた平野の地に一泊。現在の祇園神社は、このお神輿が由来とされる。興味深いのは、京都では「祇園さん」は八坂神社の通称だが、平野は「祇園神社」が正式名称なのだ。

 八坂神社の祇園祭はあまりに有名だ。しかし、「平野の祇園さん」も、地元に親しまれていることでは劣らない。夏祭りでは子どもみこしが練り歩き、お供えのキュウリを手にした家族連れが、露店の前をそぞろ歩く。

 「ごく普通の、昔ながらの神社の夏祭り。特に誇れることもないですよ」

 佃宮司は謙そんする。いやいや、そんなことはない。この地で長らく愛されてきた祇園さん。神戸を見晴らす石段を下りながら思った。二十年ぶりに、今年は夏祭りに行ってみようかな。
(安福直剛)
メモ
 ★夏祭りは7月13―20日。約200の露店が並ぶ。1年を通して、地元の歴史などに関する講演会や映写会を随時開催。

 ★祇園神社TEL078・361・3450

【アクセス】 JR神戸駅か三ノ宮駅から神戸市営バスに乗り、「平野」で下車、徒歩約10分。

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

地元に愛される夏祭り 祇園神社(2008-06-16)