神戸新聞
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社寺巡礼

2009年3月16日掲載

心安らぐ江戸の名園 長泉寺

淡路市尾崎

江戸時代初期に造られたという池泉観賞式庭園=淡路市尾崎

江戸時代初期に造られたという池泉観賞式庭園=淡路市尾崎

 ひっそりとしたたたずまいの庭園が、どこか心を落ちつかせてくれる。池のわきに古木が茂り、たくさんの石組みが水面から顔をのぞかせる。その趣は重厚で、長い歴史さえ感じさせる。

 一六六一―七三年に建てられ、真言宗の寺として栄えた長泉寺。江戸時代初期に造られた池泉観賞式庭園は名園として知られている。広さ約二百八十平方メートル。安土桃山時代に庭木として使われていたソテツの群植は、それぞれ本数を「七・五・三」と分けて植え、縁起がいい数字で寺の繁栄を願う。

 竜型の池の中央には、石橋が架かり、枯滝(かれたき)石組みや鶴亀を模した平石を配置。仏を表す大(九十五センチ)、中(七十センチ)、小(三十三センチ)の三つの立石が勇ましく並び、当時の剛健な意匠が景観を引き締めている。

 石の大きさや形、斜立の角度などどれもバランスがよく、室町時代からの流れをくんだ優れた技法が用いられているという。一九八五年には県重要文化財に指定。山本宣昭住職(79)は「見ているだけで心が安らぐでしょう」と目を細める。

 そんな歴史ある名園が世に知られるようになったのはわずか三十年前。寺に残る文献には、庭園に関する記載はなく、それ以前は語り継がれることはなかった。雑草が生い茂り、山本住職も「池があるだけ」としか思わなかったという。地元の郷土史家から「石の組み方に意味がある」と指摘され、専門家に調べてもらったところ、名園であることが分かった。

 「まさか由緒ある庭園とは思わなかった」と山本住職。今では島外にも知られるようになり、春の観光シーズンを迎えると、多い日には一日百人もの観光客が訪れるという。

 境内から一望できる播磨灘。しっとりとした趣ある庭園。ほおをなでる潮風も心地よく、ほんの一瞬、時間に追われた日々の生活を忘れさせてくれる。(西尾和高)
メモ
 ★10年に1回開かれる大法会。次回は2011年11月10―12日に行われる予定。庭園など拝観は無料。

 ★長泉寺TEL0799・85・0529

【アクセス】 神戸淡路鳴門自動車道北淡ICから車で約10分。

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

心安らぐ江戸の名園 長泉寺(2009-03-16)