神戸新聞
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社寺巡礼

2009年5月14日掲載

伝統文化の粋 今に伝え 丹波篠山春日神社 

篠山市黒岡

篠山城築城に伴い移転した本殿=篠山市黒岡、丹波篠山春日神社

篠山城築城に伴い移転した本殿=篠山市黒岡、丹波篠山春日神社

 新緑に包まれた境内に、四方を板戸で囲まれた建物がある。桜咲く春。板戸が取り払われると、生き生きとした松が描かれた能舞台が現れ、幽玄の世界が繰り広げられる。

 神社の創建は平安前期の八六二年。奈良の春日大社から分霊し、地元黒岡地域の氏神として、現在の篠山城跡に設立された。一六〇九年、篠山城築城のため今の場所に移され、城下町に信仰が広がった。歴代藩主の信仰も厚く、三代篠山藩主松平忠国は絵馬「黒神馬」を、五代典信、六代信利は神輿を寄進している。

 蔵には四祭神にちなみ、神輿が四基納められている。各町の町衆が寄進した山鉾九台とともに、江戸時代に始まった秋の大祭で登場する。山鉾は京都の祇園祭の影響が色濃く、「孔雀」「鳳凰」「三笠山」などの豪華な刺しゅうの飾り幕をまとう。笛や鉦(かね)、「イーヤ」「ソーコ」という掛け声が雰囲気を盛り上げ、城下町を練り歩く。

 能楽殿は十三代藩主青山忠良が一八六一年に奉納した。江戸城内の舞台を写し取った建築で、当時「箱根以西で最も立派」といわれたという。丹波猿楽の一座の拠点が篠山市に近い京都府西部にあったことから、町衆の多くも能をたしなみ、多くの氏子が春日神社の舞台を踏んだという。

 能の奉納は戦後途絶えていたが、立派な舞台を顕彰しよう―と一九七三年、「篠山春日能」として復活した。全国の著名な能楽師が、元旦と桜の季節に伝統の舞台に立つ。床下には音響設備としての丹波焼の大がめが七個埋められ、境内を囲む岩場に囃子の音が共鳴する。四月の「春日能」は舞台に立つ者の目に、舞い散る桜の花びらが映り、時を超えた歴史を肌で感じるという。
 町衆が愛した伝統文化の粋を今に伝える。(敏蔭潤子)
メモ
 ★能楽殿は国重要文化財。毎年元日午前0時半から能「翁」が奉納される。秋季大祭は10月第3土・日曜。TEL079・552・0074

〈アクセス〉JR福知山線「篠山口駅」、舞鶴若狭自動車道「丹南篠山口IC」から車で東へ15分

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

伝統文化の粋 今に伝え 丹波篠山春日神社 (2009-05-14)