神戸新聞
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社寺巡礼

2009年7月9日掲載

深緑の渓谷にひっそり 岩瀧寺

丹波市氷上町香良

緑に囲まれた山門。門ごしに見える本堂が風情をそそる=丹波市氷上町香良、岩瀧寺

緑に囲まれた山門。門ごしに見える本堂が風情をそそる=丹波市氷上町香良、岩瀧寺

落差18メートルを誇る「独鈷(どっこ)の滝」が流れ落ちる渓谷に、寺はひっそりとたたずむ。丹波市東部にある五台山の登山道。樹齢100年を超える杉やヒノキの木陰を歩く。川のせせらぎ、鳥のさえずりが心地よい。清水の香りを含んだ風に、思わず深く息を吸い込んでみる。

 石段の先、緑鮮やかな木々の間から白木の二層門が見える。本堂は茅葺(かやぶき)きのこぢんまりとしたたたずまい。寺の名の通り、深山幽谷の古寺といった趣。ところが、境内に歩を進めると、印象は一変する。尼僧の和田滝光住職の温かい笑顔と、本堂前を彩る大輪のヤマアジサイが静かに迎えてくれた。

 寺は弘仁(こうにん)年間(810〜824年)、嵯峨天皇の勅願により、弘法大師が七堂伽藍(がらん)を建てたのが始まりと伝えられる。天正年間(1573〜1592年)の兵火で焼失し、再興。柏原藩主の織田家の保護を受けるなど信仰を集めた。その後、荒廃した時期もあったが、約60年前からは尼寺として新たな歴史を刻む。

 周囲の山も境内の一部。春は新緑がまぶしく、秋には数百本のヤマモミジが寺を赤く染める。本堂奥から渓流に沿い、滝の脇道の急な石段を上ると、巨岩の洞穴があった。恐る恐るのぞき込むと1体の不動明王の石像。聞けば、これこそが本尊で、弘法大師が一夜で完成させたといわれる。

 夏には涼を求め、秋は紅葉狩りと、参拝客は絶えない。冬は凍るような寒さに耐えて滝行をする修行僧の姿もある。和田住職は「豊かな自然こそが丹波の魅力。そのまま守るようにしています」と話す。滝つぼへと落ちる水音を聞きながら、目を閉じて静かに手を合わせる。深い緑に包まれた神秘的な空間を、大師も見ていたのだろうか。

(奥平裕佑)
メモ
★参拝自由(紅葉期間は入山料200円)。2月3日の節分には護摩供「星祭」がある。和田住職手作りの精進料理も楽しめる(6人以上で要予約)。岩瀧寺TEL0795・82・7675

<アクセス> JR福知山線石生駅からバスで香良口下車、徒歩約20分

※この記事は過去に神戸新聞に掲載されたものです。
内容については変更になっている場合がありますので、おでかけの際はあらかじめご確認ください。

深緑の渓谷にひっそり 岩瀧寺(2009-07-09)