旧居留地にある顔
2007.12.25
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三宮センター街 |
家には顔がある。いや、不動産広告ではなく、ほら、顔に見ませんか。シミュラクラ(simulacra=類像現象)ってやつですね。とりわけ三角形に配置されたものを見ると、人は目や口として脳内処理してしまうようです。錯覚といってしまえば、まぁそれだけですが、本来は外敵を素早く発見するためだったのかもしれません。
でも、ここ旧居留地の Lloyd's Antiques 、そのお顔はやはり英国アンティーク家具風のなかなか紳士然としたものではありませんか。白い石壁は彫りが深く、薄紫のオーニング(awning=可動式テント)がなんともいえず上品です。
ここから少し南に行けば海岸通。このあたりを好んで描いた画家に川端謹次(1909-98)がいます。55年に日展特選を受けた「潮風」(神戸市立博物館収蔵)という作品も、やはりこの界隈をモチーフとしたもの。場所は旧オリエンタルホテルの屋上テラスでしょうか。遠景に淡いタッチで海の広がりが描かれ、近景に石作りの手すり、その手前に丸テーブル、上には赤青白の三色縞のオーニングがあります。風が強いのか、その裾がパタパタ煽られている様に、表情があります。異国的だけれど、やや寂しげな神戸の横顔ともいえる風景です。
(写真・文/大西昭彦)